M1/M2 MACのVMware Fusionで正規ARM版Windowsを実用的に動作させる


こんにちは、iCHiKAです。

AppleシリコンであるM1を搭載したMacBook AIrで遊んでいる中で、
VMware Fusionで正規のARM版Windowsを動作させることができたので備忘録も兼ねて導入と問題解決の手順を紹介します。
2023年8月20日現在のものなので、対策されている場合があるかもしれません。ご了承ください。
本記事で紹介することは推奨するものではなく、それに伴う損害に対しての当サイト、および筆者は責任を負いません。
自己責任でお願いします。

はじめに

M1/M2 Macの仮想マシンでWindowsを動作させるソフトは二種類。
・Parallels Desktop
・VMware Fusion Player/Pro
他にもApple謹製のBootCampやOracleのVirtualBoxなどがありますが、Intel Mac環境なら使えましたが、M1/M2では問題があるか使えないようです。
Parallels DesktopならARM(AppleシリコンことM1/M2チップなどの種類)版Windowsへ正式にサポートしており、ほとんど何も苦労がなく使い勝手もいいので、こだわりがなければそちらを使うのも良いと思います。

ARM版 windowsは製品(正規)版は公式配布していない。

VMware FusionでARM版Windowsを動かすには現状で調べた限りだと方法は下記の4通りです。
個人的にはどれもVMwareFusionでWindowsを使うには適さないと思いました。
・ARM版Windows 11 Insider Previewを利用する。
 →Insider Preview使用期限がある。
ネットに落ちているものを使う。
 →成功実績はあるが…Microsoft Storeも使えない。
ARM版であるSurface Pro Xを使って色々して頑張る
 →筆者は持っていないので知らない
諦めてParallels Desktopを使う
 →これが簡単
今回紹介するのは上記以外の方法です。
正規版ARMはSurface Pro XとParallels Desktopしか利用できません。
なのでParallels Desktopを手順の中で少しだけ使います。

大まかな手順

今回本記事で取り上げる方法は下記の通りです。
1、Parallels Desktopで一旦Windowsをセットアップ
2、セットアップ時にインストール用ISOを取得しているので抽出する。
3、このISOを利用してVMware Fusionでセットアップ。いくつかの問題を解決して終了
のたった3ステップです。簡単ですね。

手順1:Parallels Desktopを利用してWindowsをセットアップする

これはめちゃめちゃ簡単なので割愛します。
Parallels Desktopをダウンロードしたらほとんど放置で済みます。
どうしてもわからない場合は他のサイト様を利用してください。
参考までにリンクを貼っておきます。
AppleシリコンMacで正規版Windows 11を使おう!「Parallels Desktop」導入編|PC Watch

手順2:セットアップ時にインストール用ISOを取得しているので抽出する。

セットアップが完了したら
Downloadsフォルダに下記のファイルがありました。
22621.1702.230505-1222.ni_release_svc_refresh_CLIENTCONSUMER_RET_A64FRE_ja-jp.iso

時期によってはファイル名が違うかもしれませんが、A64と、ARM64を示唆したISOファイルが見つかると思います。
こちらを利用してVMware Fusionで仮想マシンを作っていきます。

手順3-1:VMware FusionでWindowsのセットアップ

「ディスクまたはイメージからインストール」
先ほどのISOを選択して「続ける」
するとUEFIかBIOSか聞かれると思いますが「戻る」
OSの種類が「その他」ではなく「Windows 11 64 ビット ARM」になっていることを確認して「次へ」
UEFIにチェックしてあるのを確認したらそのまま「続ける」
暗号化を選択はわかりやすく設定してください。そして「続ける」
仮想マシン保存先を設定して「終了」

そうすると仮想マシンが起動して「Press any key to boot from CD or DVD」が出るはずです。
すぐに他のキーを押せればいいのですが、間に合わない場合は「Start PXE over IPv4」とLAN経由で起動しようとするので、放置してください。
そうすると、コマンドを受け付けるようになるので「Exit」と入力してエンター。
BIOSが立ちあがったら、「Continue」。
「Press any key to boot from CD or DVD」が出たらすぐに他のキーを押すと、
インストーラが起動するはずです。間に合わなかったらこの動作を繰り返してください。

ブートメディアが起動したら、通常のWindowsのインストールを行います。
仮想マシンであっても何変わりありません。わからない場合は他サイト様を参考にしてください。
参考用にリンクを貼っておきます。
Windows 10 新規クリーンインストール手順|パソコンショップSEVEN

手順3-2:ネットに繋がらない問題を対処

これがARM版Windowsインストール時にクセがあったところです。
ネットに繋ぐことができず、オフラインだと通常手順だと、Windows 11をセットアップできません。


そこで、一旦オフラインでセットアップできるようにします。私は最初は面倒くさくて、仮想マシンに直接USB NICでLANケーブルを差してオンラインセットアップしましたが、オフラインセットアップも覚えておいて損はないです。
あと別途でWindows用キーボードがあると楽です。
参考元:ローカルアカウントで「Windows 11 Home」をセットアップする方法|窓の社

Windowsロゴが出たのちにWindows 11の初回起動時のセットアップ画面になるので
Shift+F10を押すと、コマンドプロンプトを開くことが出来ます。
コマンドプロンプトを開いたら下記を入力してエンター。

.\oobe\BYPASSNRO.cmd

通常はオフラインでセットアップができない(ネットワーク接続画面から進まない)ですが、「インターネットに接続していません」という選択肢が追加され、次に進むことが出来ます。

これ以降のセットアップは特に難しいことはなく同意するか続行などで進みます。
ここ以降は割愛します。

デスクトップの画面まで無事に辿り着いたと仮定して(辿り着いていない場合は適時疑問箇所を調べてください)
インターネットに接続できない問題は解決していません。
これを解決するには、VMware Toolが必要ですが、
ARM版Windowsでは手動インストールが必須となります。
VMware Toolをインストールしていきます。
参考元:Windows への VMware Tools の手動インストール|VMware

メニューバーの「仮想マシン」> 「VMware Tools のインストール」
ポップアップがでたら「インストール」
これで仮想マシンにVMware ToolがCD/DVDスロットとして認識するようになりました。
ですが、既定のポリシーでは「setup.ps1」が実行できないため、
ポリシーを変更します。
ただこのポリシーはセキュリティとして機能しているので、
無闇に変更しないようにします。
参考元:PowerShellのExecutionPolicyのスコープとかについて詳しく|Qiita
PowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドを入れます。

Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process

警告が出たらyを入力します。
これで実行できるようになったので実行します。
ドライブ名は環境によるので都度変えてください。

D:\"setup.ps1"

パッケージをインストールし終えると、ネットワークドライバが更新されて、
MacからNATした状態で通信できるようになります。
ちなみにディスプレイドライバも同時にインストールされて、解像度や拡大率も変更できるようになります。

手順3-3:Microsoft Storeが利用できない問題を解決

この状態だとWindowsのアプリストアであるMicrosoft Storeが利用できず、
一般的な方法だとインストールができませんでした。
利用できないと何かと不便なこともありますね。
こちらもSurface Pro XやParallels Desktopのような正規版と、
Windows Insider Previewでは利用できたので、それ以外の方法でインストールされたARM版Windowsでは同じ現象が発生する場合があります。
ですが、調べてる中で興味深いサイトを見つけました。
参考元:Microsoft Store on ARM64 (for UTM)|GitHub

UTMでも発生するらしく、GitHubで修正できるソフトがあるみたいです。が、ここまでネットに落ちているソフトを避けてきたので避けたい気持ちがあったのでみてみると、
文末に下記のリンクを参考にしたという記載がありました。
元々はParallels DesktopのQ&Aのページのようで、
現在でも残ってますが更新されて、該当箇所がなくなっていたので、
ネットアーカイブが残っていました。
Install Microsoft Store to Windows 11 on ARM|web.archive.org

このページで配布されているStoreX86.zipをダウンロードし、インストールし、手順通りに行えば動くようになるみたいです。
ただ魚拓とはいえ紹介するのは憚られたため、中身を見てみると単純でレジストリをいじっているようです。
下記の記載がありました。[HKEY_LOCAL_MACHINE\

SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModel\StubPreference\Microsoft.WindowsStore_8wekyb3d8bbwe]
"PreferNonX64"=dword:00000001

上記と同じ挙動をする下記コマンドを実行します。

reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModel\StubPreference\Microsoft.WindowsStore_8wekyb3d8bbwe" /v "PreferNonX64" /t "REG_DWORD" /d "1" /f

その後下記コマンドを実行します。

wsreset.exe -i 

これで参考元の過去のParallels Desktopの記事と同じことを実行しました。
実際にMicrosodt Storeが追加されました。
UTMやUUPで詰まった方でも利用できる方法かもしれません。

これで実用的で、本来のWindowsを損なっていない、正規ARM版WindowsがVMware Fusionで動作するようになったんじゃないかと思います。
筆者的には満足です。
何か質問や補足があればコメントからお気軽にお問い合わせください。

さいごに

ここまでお読みいただきありがとうございました。
ARM版Windowsはネイティブアプリが少なかったり、
製品としては存在するのに一般配布していなかったり、
ARM版を普及させるのかさせないのかよくわからない状態です。
Surface Pro XやParallels Desktopでしか製品版を利用できないのも、
普及させるというところからは真逆の行動です。
やる気あるのかMicrosoft。
MacはARMできびきび動くようになってて、PCにもARMの風が来てるんですから、一ユーザとしては選択肢を増やすべく、ARM版をリリースするべきではと思うんですけどね…。
公式が配布しないと、不正利用もされてしまいやすいわけで。
とはいえ上記で紹介した方法は、かなりグレーゾーン、かつテクニカルな内容になっていますので、何度も言いますが自己責任でお願いします。
当サイトでは一切の責任を負いません。


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